こんにちは、ももかですmomoka_hsphss
心理学で性格を扱うとき、特性論と類型論という2つの見方が代表的です。
特性論は相対評価で比較し、類型論は絶対評価でカテゴリーに分類します。
現代の主流は特性論ですが、類型論にも根強い人気があり、使う目的によってメリットデメリットが違ってきます。
この記事では両者の違いを説明したうえで、どういうシーンで使えるのかを解説していきます。
特性論と類型論の違い

性格の捉え方は、特性論と類型論という2種類があります。
- 特性論
-
後天的に身に着けたパーソナリティに主眼が置かれる。パーソナリティは役割性格とも呼ばれ、環境に適応するために身につけた側面で、行動として観察しやすい。
- 類型論
-
先天的なキャラクターに主眼が置かれる。キャラクターは持って生まれた性質とも呼ばれ、行動の背景に焦点が当たる。
さらに詳しく違いを解説していきます。
特性論は相対的
特性論は相対的な見方です。すべてに共通する要素の、量や程度の違いに重きを置きます。
果物の例
- 糖度(甘さ)
- 硬度(硬さ)
- 値段
など
特性論は、行動から測定される膨大なデータを使って数値を出し、その結果から理論を導き出します。
誰もがもっている特性が、観察可能な行動にどれくらい反映されているかを見ているんですね。
果物なら、りんご、みかん、バナナ、すべて「甘さ」「硬さ」という数値で比較できます。「糖度が高い」というように量や程度の差によって相対的に見分けることができます。
性格の例
- 明るい
- 優しい
- 積極的
など
「あの人は積極的だ」と表現するとき、なにかしら基準となる行動をイメージしますよね。自分より発言する回数が多いとか。よく飲み会に誘ってくるとか。
こうして比較によって表現できるのが特性論です。
ストレングスファインダー ビックファイブ
特性論のメリット・デメリット
特性論のメリットは比較がしやすいこと。
「あの人は優しい」と感じるとき、必然的に優しくない人もイメージできますよね。
ストレングスファインダーで使用される語句がわかりやすいです。
学習欲 活発性 規律性 コミュニケーション 着想 慎重さ など
行動に主眼が置かれるので、変化を観察しやすいのもメリット。ビジネスで重宝されているのは、この辺りが理由だと思います。
デメリットは比較によって劣等感が生まれやすいこと。
学校の成績でも相対評価だと、クラスのなかで「評価5は全体の10%にする」みたいに、最初から区切られたりします。
そうすると少数派は良くも悪くも異常値として捉えられ、場合によっては引け目に感じることもあります。
データを抽出した母集団によって評価の基準が変わる特徴もあります。
日本ではコミュニケーション力が高いと言われていた人が、外国に行ったらコミュニケーション力が低いと言われる、みたいな。
類型論は絶対的
類型論は絶対的な見方です。それぞれが質的に固有のものであるという前提のもと、カテゴリーに分類します。
果物の例
- りんご
- みかん
- バナナ
など
類型論でも行動を観察してデータを取りますが、理論や前提が出発点としてあります。
りんご、みかん、バナナは「果物である」ということは共通しているけど、「りんご」は「りんご」だし、「バナナ」は「バナナ」です。
それぞれ質が異なるので、「りんご度が高い」といった表現はできません。
性格の例(MBTI)
- ESFJ
- INTP
- ISFJ
など
こうしたタイプは、心の働きを紐解く理論によってカテゴリー分けされますが、もって生まれた性質が異なるという絶対的な見方をする類型論になります。
類型論のメリット・デメリット
類型論のメリットは、絶対評価なので個の存在を肯定しやすいこと。
学校の成績であれば、目の前の「個人」がどうなのか?を見て判断します。行動よりも心的機能に主眼が置かれ、自然と使う思考パターンに着目します。
また心の発達プロセスを見ることもあり、人生を俯瞰できるのもメリットです。
デメリットは、理論背景を知らないと表面的な解釈になるリスクです。
MBTIはユングの心理学的タイプ論、エニアグラムは古代エジプトを起源にもつ人間学、といった分類の背景があります。
よく類型論のデメリットで「細かい個人差を見落とす」という指摘があるけど、理論背景を知らずに特性論の見方で解釈しているのが原因です。
まとめ
今回は特性論と類型論の違いを説明しました。どちらも使い方によってメリット・デメリットがあります。
個人的には類型論の研究が好きですが、学校や会社の生活が長いと特性論の考えが染み込んでいるので、最初は頭のスイッチを切り替える意識が必要でした。
性格心理の世界を探求する参考になれば嬉しいです。