性格という言葉は、日常的に使われ馴染みがあると思います。「あの人は優しい性格だ」というように、人間の内面を指す表現として機能します。
ここで紹介する性格タイプは、そうした日常会話の意味合いではなく、学問的な見方をするものです。
心理学的タイプ論、性格タイプ論、といった名前で呼ばれ、理論的背景をもって人間の内面を研究する分野です。
性格タイプは目に見えない「心」を言葉に変換し、個人が異なる世界観をもっていることを理解できる一方で、誤った使い方をすると、理解する努力を止めてしまうリスクもあります。
ここでは性格タイプを使って生きやすくなるために、最初に押さえておくべき3つのポイントを説明します。
自分も、他者も。お互いが持っている性質を活かせるようにしましょう。
性格タイプとは
性格タイプでは、人は固有の性質をもって生まれ、その性質を使いながら成長していくという考えに基づいて、いくつかのパターンに分類します。
こうした考え方を性格類型論と呼び、代表的なのものに、MBTIやエニアグラムがあります。
なぜ生きやすくなるのか?
MBTIやエニアグラムに出会って「生きやすくなった」と語る人は多いです。性格タイプを知って生きやすくなる理由は、自己・他者理解が深まるからです。
仕事や人間関係での摩擦が減り、充実感が高まるんですね。
- やりたい仕事に就いたはずなのに、いつも途中で魅力を感じなくなって、転職を繰り返す。
- 会話がすれ違って、イライラする相手がいる。説明の仕方を変えても、伝わる様子がなくてウンザリ。
- いつも通りに振舞っているはずなのに、一方的に非難してくる人がいて、毎日ストレスで押しつぶされそう。
こうした悩みは、性格タイプを通して、感情・思考・行動の違いを理解すると軽減していきます。
ただし、一歩間違えると人をジャッジしたり、コントロールしようとしたり、問題の溝を大きくする原因にもなります。
次から説明する3つのポイントを押さえると、性格タイプを有効活用できます。
ポイント1「性格タイプは旅である」
性格タイプを通して自己理解を深めることは、目的地までの道のりを楽しむ旅のようなものです。
MBTIやエニアグラムでは、タイプを決める権利は本人にあり、自分のタイプは自分でフィットするものを選びます。
これは「タイプは、その人のなかにある」という考えによるものです。そのため、結論を出す優先順位は低く、そこに至るプロセスを大事にしています。
「私は○○タイプです」と思うなら、なぜそう思うのか?どんなエピソードと関連付けたのか?逆に他のタイプでないと感じた理由は?といった背景に、その人のタイプが反映されているんですね。
タイプがわからない場合も、外側から「○○タイプですよ」と決めつけず、時間をかけて自分自身を観察することが推奨されます。
オススメできない人
性格タイプは心の働きを知る枠組みを提供するものです。悩みを解決したい人が取り入れるとき、合わないと感じることもあると思います。
たとえば、こんな感じ↓
- 即効性の保証がほしい人
- 客観的事実をもとにした確実な方法が知りたい人
- 行動ベースで細かくアドバイスがほしい人
- 問題の原因を指摘し、解決策を教えてほしい人
こういう人がダメ人間ってわけじゃなくて。相性というか、合う合わないってあるんですよね。問題の原因を特定して、行動ベースで細かくアドバイスが欲しい人は、認知行動療法の方が合っていると思います。
性格タイプは行動の背景を見ていくものなので、ビジネスで使うときも、タイプ情報だけで人事選考するのはNGだし、業務スキルは切り離して考えるので。
私たちが慣れ親しんだ「あなたのタイプは○○です。得意なのは××です。△△の仕事が向ています。」という診断はしません。
むしろ、その解答に本人が自分で辿り着くために、性格タイプの枠組みを使います。
性格タイプで得られるもの
性格タイプは、普段自然と使っている心の働きについて、心理学の理論を使って説明するものです。コミュニケーションスタイルが理解できたり、人間関係の摩擦が減ったり、といったメリットがあります。
残念ながら潜在能力の開発ではないし、相手の行動を言い当てるメンタリストでもありません。
- 新しい自分に生まれ変わる
- 眠れる能力が目覚める
- 相手の内面を手に取るようにプロファイルできる
- 普段自然に使っている心の働きについて、タイプの枠組みを通して知る
- 成長の過程で意識が向きやすいこと、心理的変化などを知る
- 自己・他者の性質が十分に発揮される要素を知る
性格タイプで知るのは、人生のどこかで既に出会っていて、いろんな理由で消そうとしたり、忘れていたり、そういう意味での「自分らしさ」です。
いまの自分を消し去って、まったく新しいものに改造するのではなく、ストレスの原因、生き生きと過ごせる環境などを把握して、人生の充実度を高めるものです。
ポイント2「性格タイプはグラデーションである」
性格タイプは、人が持って生まれた性質をもとに分類しますが、厚い壁で区切られた箱に押し込めるものではありません。
同じタイプでも個人差があるし、行動への現れ方も人によって異なります。これは、置かれている状況が違うこと、すべての人がすべてのタイプの要素を持っていることが背景にあります。
置かれている状況が違う
タイプごとに、ものの見方や感じ方の傾向はありますが、育った環境も人生経験も、一人ひとり違います。
同じタイプであっても、その人の言葉で生きていることを考慮しながら、自己・他者理解を進める必要があります。
性格は平面ではなく立体的で、1本の線でブチっと区切るのではなく、グラデーションのようになっているんですね。
すべてのタイプの要素を持っている
性格タイプは、エニアグラムなら9タイプ、MBTIなら16タイプになりますが、すべての人がすべてのタイプの要素をもっています。
私たちは共通した心の機能をもっているけど、人によって優先して使うものが異なり、それがタイプの特徴として表現されます。
ただし、各タイプは比較や優劣で評価できるものではなく、質的に固有のものです。
ポイント3「性格タイプは非言語も重要である」
各タイプの世界観は、体感してはじめて理解できることが、たくさんあります。日常生活でも、LINEのやり取りと、実際に会ったときの印象が全然違う人っていますよね。
文章だけでは誤解も生まれやすいので、ネットや書籍の情報は「それが全てではない」というスタンスで読むと、ほどよく知識を入れることができます。
タイプ言語
タイプによって、ものの見方や感じ方が異なると、使う言葉にも特徴が出てきます。これはタイプ言語と呼ばれています。
タイプの説明をする人が、自分のタイプ言語の傾向を把握できていれば、その説明は中立に近くなりますが。タイプ言語をゼロにするのは難しいので、どうしても「説明する人のタイプのレンズを通した表現」になります。
逆に言うと、このタイプ言語の違いを知ることこそ、自己・他者理解の大きなキーポイントになります。
またタイプの特徴は、声の大きさ、間の取り方、視線、会話に入るタイミング、といった非言語の情報もあります。
なので、実際に体感すると、タイプの特徴を理解しやすいです。
探求しよう
今回は、性格タイプ知って生きやすくなる3つのポイントを紹介しました。
性格タイプの世界では、探求という言葉がよく使われます。「私は○○タイプだ」と、早く結論を出したくなるけど、結果を決めれば良い、というものでもない。
ひとつずつタイプの特徴に沿って自分を観察するプロセスによって、自己理解が深まるんですね。
タイプは持って生まれた固有の性質がありますが、すべての人がすべてのタイプの要素を持っています。
そして、同じタイプでも置かれている環境や人生経験が違うので、特徴のあらわれ方も違ってきます。
今日お伝えしたポイントを踏まえて性格タイプの世界に触れると、比較や優劣とは切り離して自己・他者理解ができるので、生きやすくなりますよ。
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