HSPは【気質】なんですが、そもそも気質ってなんでしょうか?性格とは、なにが違うんでしょうか?
よく日常会話で「職人気質」とか「オタク気質」とか言いますが。心理学で使われる【気質】は、違った意味になります。
参考:まず、性格の意味を辞書で調べると、こんな説明が出てきます。
先天的な気質と後天的な影響とによる、その人の感情・意志などの傾向。
- 先天的=生まれる前からもっているもの(遺伝的要素)
- 後天的=生まれたあとに身につくもの(環境的要素)
先天的か?後天的か?
私たちが普段【性格】と呼んでいる人間の内面は、後天的に身に着けた部分を指している場合が多いです。
- 真面目
- 優しい
- 几帳面
- 優柔不断
など。
たとえば、新生児室にいる赤ちゃんに対して、
「真面目だね」
「優しいね」
「優柔不断だね」
とは言わないですよね。
成長する過程で、ものの見方・感じ方の傾向性が行動に出てきて、客観的に観察可能になると【性格】とわかるようになります。
その、ものの見方・感じ方のベースになっているのが【気質】です。
生まれてすぐの赤ちゃんも、
- 音によく反応する子
- 手をよく動かす子
- 静かに寝ている子
といった、一定の傾向があります。
それは、遺伝によって、もって生まれた神経やホルモンの働きが、一人ひとり異なるからですね。
種の保存説
私たち人間が異なる気質をもって生まれるのは、種が絶滅しないため、という説があります。
すべての個体が同じ遺伝子をもっているよりも、異なる遺伝子をもち、同じ状況でも違った脳の働きをすれば、人間という種が絶滅するリスクを減らせるわけです。
こうした神経やホルモンの働きと【心】の関係は、まだまだ解明されていないことが多いです。なぜなら、行動によって観察するのが難しいからですね。
HSPも、脳科学・生物学的な研究が進められていますが。
まだ理論的な裏付けで統一されるレベルではなく、「生まれつき=先天的」という説明が限界になります。
さらに、
同じ気質でも、後天的な環境要因によって、影響の仕方には個人差が出てきます。
同じ気質でも個人差が出る理由
HSP気質は人口の20%、HSS型HSP気質は人口の6%に存在すると言われています。(最近は「実はもっと多いんじゃないか?」とも言われますが……)
同じ気質をもって生まれても、個人差があるんですね。
参考:その理由は2つ。
- 用心システムと冒険システムのバランスの違い
- 人生経験の違い
用心システムと冒険システムのバランスの違い
人間の脳には、行動を抑制する働きと、行動を活性化させる働きがあります。
HSPの提唱者であるエレイン・アーロン博士は、行動抑制システム、行動活性化システム、と表現しました。
行動抑制システム | 行動活性化システム |
---|---|
用心システム | 冒険システム |
自動一時停止・チェックシステム | 王室の「戦士」のような存在 |
王室の「助言者」のような存在 |
HSPに限らず、だれもが2つのシステムを兼ね備えて生まれてきます。そして一人ひとり強弱が違うのですね。
- 用心システムが強い人
- 冒険システムが強い人
- どちらも強い人
- どちらも弱い人
同じHSPでも、システムのバランスは個人差があります。
HSS型HSPは、用心システムと冒険システムがどちらも強いんですね。好奇心と警戒心が、同じくらいの強さで働いているのです。
HSPか、そうでないかは2択
強弱に個人差はあるけど、HSPか、そうでないかは2択です。
- HSP傾向のある非HSP
- HSPである、HSPではない
人生経験の違い
同じ気質でも、影響の仕方に個人差が出る理由、ふたつめは環境要因ですね。
人生経験は一人ひとり違うので、同じHSP気質をもっていても、精神的に安定している人もいれば、生きづらさを抱える人もいます。
個人的に「わかりやすいな」と思った例が、生年月日から性格を導き出す占いです。西洋だと12星座占い、東洋だと四柱推命。
生まれた日から、「こんな性質をもっていますよ」と教えてくれるやつですね。
で、理論に当てはめれば、同じ日に生まれた人は同じ性質を持っているので、同じような人生を歩むと思うじゃないですか。
でも実際は、順風満帆に進む人もいれば、何をやっても上手くいかない人もいる。
自分の生まれ持った性質を、どう使っているか?
この違いで、現実に差が出るんですね。
そこには、
- 家庭環境
- 地域社会
- 出会った人
- 学んだこと
など、世界にたった一人しかいない「あなた」の物語が影響しています。
「私ってHSP?」不登校も心の病気も経験がなくて繊細さを疑うとき
参考:同じ気質をもっていても、得意不得意、好き嫌いは異なる
HSPも同じように。
同じ気質でも人生経験が違うので、起こるできごとも個人差があります。
もちろん、得意・不得意、好き・嫌いも違います。
「HSPって生きづらい!」と思っちゃうけど。HSP気質を活かせていないと、生きづらくなるのです。
そこには過去の経験、生活習慣なども関係してきます。
ここを紐解くことが、ひとつのカギになりますね。
気質は生涯変わらないけど成長する
うまれもった気質は生涯変わらないけど、成長することができます。
なので、自己理解を深めて、気質・性格の動きに気づき、意識化してコントロールできるようになると、どんどん心が発達して生きやすくなるんですね。
HSPを知った人のなかには、

生まれつきってことは、このつらさが一生続くのか
って、未来に絶望しちゃう人もいるんだけど(私は絶望した人だよ)
気質という考え方・枠組みを通して、心の動きを意識してみると、自分の傾向や行動パターンが把握できるようになるので。
本来もって生まれた資質をポジティブに活かす工夫も、できるようになってきます。