そろそろ新卒で入社した人が、社会人生活の理想と現実のギャップに悩み始める時期だと思います。学生のころにイメージしていた社会人像と、現実の自分のスキルに混乱して「社会人向てないのかな?」と不安になるんですよね。
そんな新入社員から「相手の顔色を伺いすぎて、相談できなくて一人で抱えてしまう」という声を聞きます。

とーーーーーってもわかる!
相談って、とても曖昧なコミュニケーションだと思うんですよね。
しかも先輩たちは、みんな忙しそうに見えるし、いつ、どうやって話せばいいか、わからない。
周りの人が相談しているのを観察していると、「自分で考えろ」とか「いちいち聞くな」とか言われていて、自分にも同じ反応されたらどうしよって考えて、なかなか言い出せない。
この悩みは、社風や部署の方針、相手の精神状態など、さまざまな要因が絡み合っているので。一概に「こう動けば確実だよ」っていうマニュアルがあるわけじゃないけど。
同じように悩んだ経験のある私なりに、対策を伝授しようと思います。
なにを悩んでいるのか、わからない
新入社員は、そもそも何を悩んでいるのか、何が問題なのか、わからない状態なんですよね。だから「わからなかったら相談して」と言われても、いつ、どのタイミングで、何を聞けばいいか、わからない。
本当は先輩の方が気を使って、細かくチェックしてあげたり、理解しているか確認したりといった指導が必要なんですが。
企業によっては育成の雰囲気がなくて、いきなり現場に放り出されて「習うより慣れろ」みたいな風習が根付いているところもあります。
同じ企業でも、人によって教え方も違うしね。指導係との相性もあるし、本当色んな要因が絡んでいるから難しいよね。
いちばん心配なのは、人格を否定されたと感じてしまうこと。
業務内容に関する相談は、ライトなものからヘビーなものまであります。たとえば、書類の書き方、システムの操作方法といった、誰がやっても同じようにできる内容もあれば、クレーム対応や営業方法といった、ケースバイケースの話もあります。
とくに人が絡む問題は、相談した上司や先輩の価値観が色濃く反映されるんですよね。
そこで仕事のやり方が合わない先輩だと、どうしても意思疎通が取れなくなってくる。「何が言いたいか、わかんないよ」とか、些細なひと言が深く心に刺さって、立ち直れなくなってしまう。
ゆっくり変化に適応していく
入社してから1~2年は、変化に適応していく期間です。学生から社会人って、ものすごい環境の変化なんですよ。
言葉遣い、立ち振る舞い、といったマナーもそうだし、生活リズムも人間関係も、何もかもが総とっかえですよね。入社と同時に一人暮らしを始めたら、もう土台からガラッと変わっている。
こうした環境の変化に対して、そこまで心が影響されない人と、とても大きく影響される人がいます。自分がどちらの傾向にあるか、社会人になったことで気づく場合もあるんですね。
どちらにせよ、環境の変化に対して、心の変化は遅れてついてくるものです。
失敗して怒られるのはイヤだけど。最初のうちは、自分なりのペースをつかむことを最優先にして、心と体の回復方法を探してみてください。
体力と気力は別々に消費していくので、それぞれで回復方法のバリエーションを増やすことが大切です。
話しやすい先輩から相談方法を盗む
相談方法に関して、具体的な対策も紹介しておきましょう。相談の内容によるけど、必ずしも同じ部署の人じゃなくても答えが見つかる場合があります。
先輩のなかで「話しやすいな」とか「対応が丁寧だな」と感じる人はいませんか?
だいたい、そういう先輩は仕事をたくさん抱えていて忙しい人だったりするけど、面倒見が良くて後輩に接するのに慣れている可能性が高いです。
社会人経験が長い人は深く頷いてくれると思うけど、忙しいアピールをしている人ほど暇です。
学生と社会人ではコミュニケーションの取り方が違うので、真似したい先輩の振る舞いをお手本にして、社会人なりの相談スタイルを身につける練習をしてみます。
話しやすい先輩を見つけて、言動を観察し、どうやって相談しているか盗むんですね。
よく観察していると、話しかける前に「いま、お時間いただいても、よろしいですか?」とか、「何度も確認して、本当申し訳ないんですけど」みたいなワンクッションを置いてるな、と気づくかもしれません。
どういう切り出し方をして、どんな話し方をしているかチェックして、脳内で自分が動いている様子をイメトレすると事前準備ができてきます。
本当にツライなら3年待たずに辞める
転職するにしても、3年続けた方が有利って聞きますが。本当にツライなら、2か月でも3か月でも辞めていいと思うんです。
逃げグセがついちゃうと心配するかもしれないけど、取返しのつかない状態になるより、決めるなら早い方がいい。
私は新卒で入社した会社で、3か月たったころ「あれ?この会社おかしいかも?」と思ったけど、自分の努力が足りないだけだと思ってがんばり続けたんですね。
結果的に、同期の誰よりも早く昇進したけど、裏では摂食障害が悪化し、過呼吸発作が毎日出て、ベッドから動けなくなりました。学んだこともたくさんあったけど、払った代償も大きかったと思います。
まぁ、私の黒歴史はどうでもいいとして。言いたいのは、自分の感覚を大切にしてほしいってこと。
小さな「あれ?違うかも?」という違和感って、だいたい合ってるんですよ。そこを無視するクセがついてしまうと、どんどん感覚が鈍っていき、逆に自分を傷つけるという行為になって、本能が無理やり気づかせようとしてきます。
自分を傷つけるというのは、物理的に刃物を向けるとか、薬を飲むだけじゃなくて。休息を与えない、弱音を認めない、など自分で自分にパワハラする行為も含みます。
いつも相談するのが苦手で逃げていると感じるなら、この機会に立ち向かってみるのもアリだけど。どちらにしても「自分を大切にする選択は?」と考えて、選んでみてください。
社内の人に相談するのが苦しいなら、セッションでゆっくり話しましょう。